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【賛否】メタマスクに本人確認(KYC)導入|セキュリティ向上と分散化の遠のき

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メタマスクにもついて本人登録が必要になる。
そのような通知が届いたようです。

今回本人確認(KYC)が導入される大きな要因は税金ルールの改定です。本人確認の導入は私たちにどのような影響をもたらすのでしょうか?

本人確認の導入は、分散化から遠のく反面、セキュリティ向上などのポジティブな側面もあります。賛否両論がある中、今後の展望について考察していきましょう!

メタマスク(Metamask)に本人確認が導入される理由

最近、仮想通貨に関する新しい税金ルールが提案されました。これにより、仮想通貨の取引や保有に関する報告義務や本人登録(KYC)が必要とされる変更があります。また、分散型取引所であるユニスワップやマルチシグウォレットも対象となり、新しいKYCが導入されます。以下ではその内容について詳しく解説していきます。

参考文献:英語】財務省 ブローカーによる総収益と根拠報告および実現金額の決定

KYCとは?
サービスを利用するために利用者の名前や住所、電話番号といった個人情報を登録し、公的書類で証明することです。

メタマスク(Metamask)とKYC

今回の税金ルール改定において、特に注目するべきはメタマスクにKYCが導入されることです。

メタマスクは仮想通貨の取引を行うプラットフォームで、今回の新ルールでは仲介業者(ブローカー)とみなされます。これにより、メタマスクはユーザーのKYC情報を収集し、取引内容を報告する義務が生じます。

ただし、スワップ(通貨交換)機能を削除すれば、この義務は免除されるようです。メタマスクがスワップ機能を外すか外さないか、こちらも今後の展開を追っていきましょう。

メタマスクについて詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてくださいね!

ユニスワップ(Uniswap)と新しいKYC

メタマスクだけではなく、ユニスワップ(Uniswap)も仲介業者と見なされ、新しいKYCバージョンへのUI(ユーザーインターフェース)のアップデートが必要です。これにより、取引を行うユーザーの身元確認が行われ、取引内容が報告されるようになります。

出典:Uniswap

マルチシグウォレットとKYC

さらに、マルチシグウォレット(複数署名ウォレット)を持っている場合も、仲介業者と見なされます。

こちらも同様にKYC情報の提供が求められます。これにより、取引の透明性が向上し、規制の範囲内で取引が行われることになります。

マルチシグウォレットの代表例

  1. BitGo: ビットゴーは企業向けのセキュリティサービスを提供する会社で、マルチシグウォレットも提供しています。ビットコインなどの主要な仮想通貨に対応しています。
  2. Casa: カーサは、個人と家族のためのセキュアなビットコインウォレットを提供する企業です。ユーザーはマルチシグウォレットを活用して資産を保護できます。
  3. Electrum: エレクトラムは、ビットコインのウォレットアプリであり、マルチシグ機能も提供しています。エレクトラムはユーザーフレンドリーなインターフェースと高いカスタマイズ性を持っています。
  4. Specter: スペクターはビットコインウォレットで、マルチシグウォレットを構築できるオープンソースのプラットフォームです。技術的なユーザーに向いています。
  5. Coinbase Vault: コインベースは大手仮想通貨取引所で、コインベースのユーザーはVaultと呼ばれるマルチシグウォレットを利用して資産を保護できます。
  6. Ledger Live: レジャーライブはハードウェアウォレットであるレジャーの公式アプリで、一部の仮想通貨においてマルチシグウォレット機能を提供しています。

【対策】手数料の変更と新KYCバージョンへの移行

それぞれのアプリケーションでは、KYCを必要とする場合と、不要になる場合と2パターン用意されるようです。

しかし、取引契約の手数料を変更できるプラットフォーム(例: Uniswap)は、手数料を最大限に引き上げて、ユーザーが新しいKYCバージョンに移行するよう促していくようです。

事実上KYCしなければ利用できない環境になるということです。これにより、規制対象外の取引を抑制し、規制された取引が増加することを狙っています。

今後の展望

仮想通貨の世界では、新たな変更が進行中です。今回の変更には、税金やセキュリティへの影響が含まれており、1099フォーム(確定申告)の統合が議論されています。一方で、セキュリティ向上や分散化の考え方に対する肯定的な意見もありますが、分散化の原則から逸脱する懸念も出ています。

1099フォーム(確定申告)の統合

今回の変更は第1フェーズであり、次は「非ホスト型ウォレット」などが対象になり、仲介業者同士が情報を共有して報告する1099フォーム(確定申告)の統合が行われる可能性があります。

ただし、規制対象外の取引はこの1099フォームの基準に合致しない可能性があります。そのため、正確な情報の提供が求められ、税務監査に注意が必要です。

セキュリティの向上に対するポジティブな意見

今回のKYC導入において、セキュリティ向上に伴う安全性の向上が見込まれます。分散化と安全性は対極にあるものであり、両立は非常に難しい技術です。

しかし、安全性や透明性の欠落がゆえにWEB3に参加できない方々が存在することも事実です。例えば、個人資産の保護、詐欺リスクの低下、これらの要因となり、より安全が担保される環境になればさらに参加者の増加も見込め、市場の活発化に繋がる可能性もあります。

分散化から遠のくリスク

WEB3の思想は分散化です。分散化の醍醐味は、簡単にかつ誰でも利用できるサービスです。

例えば銀行口座を持たない方でも利用できる金融サービス、決済サービス。これらは、国によっては大きな影響をもたらします。しかし、ここにKYCを導入することによって、利用者は激減。

本来の分散化の思想から遠のき、従来の課題解決ができなくなってしまうリスクもあります。

まとめ:対策と今後の選択肢

これらの新税金ルールに適切に対応するためには、以下の点に留意することが重要です。

  1. 情報提供とKYC: 対象となるプラットフォームでは、必要な情報を提供し、KYC手続きを行うことが求められます。これにより、規制順守を図りましょう。
  2. 手数料と移行: 手数料の引き上げと新KYCバージョンへの移行に関しては、プラットフォームが案内する手順に従いましょう。新しいルールに適応することが重要です。
  3. 個人ウォレットと注意: 今回の変更が影響する範囲に注意し、個人ウォレットを利用する場合でも、関連する情報提供が必要な場合があることを認識しておきましょう。
  4. 税務相談: 税金に関する専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることが大切です。正確な情報提供と税務申告を行いましょう。

これらの対策を講じることで、新しい税金ルールに適切に対応し、トラブルや税務監査のリスクを最小限に抑えることができます。